戦士と語る Vol 20
| 元東洋太平洋バンタム級チャンピオン Text By 新田 渉世 Photo By 山口 裕朗 |
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| 元WBA世界フライ級チャンピオン レパード玉熊ジム会長 玉熊幸人氏 |
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ベストを尽くしたという納得感、自分自身のパフォーマンスに対する誇り、そして自分の選んだプロフェッションで頂点にたっているという自負心、これらの要素がひとつ欠けても本当の成功者とは言えない。―アイルトン・セナ 2001年もあとわずか。月日がたつのは早いものです。一日一日を精一杯生きないとアカンですね。 こんにちは、しょーちゃんです。 今回は“エネルギッシュな大人の男”赤城武幸さんの紹介で元・WBA世界フライ級チャンピオンのレパード玉熊さんを訪ねました。
マスコミがつけたキャッチフレーズは“ショートレンジの無口な男”。青森商業高校時代にインターハイJ・フライ級準優勝。プロ転向後‘87年日本フライ級タイトル獲得。’89年金容江(韓国)の持つWBC世界フライ級王座に挑戦するが12R判定負け。 ‘90年にWBA世界フライ級王者李烈雨(韓国)に挑戦し10RTKO勝ちでベルトを奪取。ヘスス・ロハスとの防衛戦を引分けで防衛後、‘91年 エルビス・アルバレスに12R判定負けを喫し王座陥落。その後引退し、所属していた国際ジムトレーナーを4年半程勤め、現在は九段下の皇居近くで、6年前に開設した「レパード玉熊ボクシングジム」の会長として後進の指導、育成に励む毎日を送っています。 Talk is Cheapにも寄稿しているボクシングライターの丸山幸一さんは笑いながら、 「彼は無口なんだけど女性とはよく喋るんだよ。」 と言っていたので、本人にストレートに聞いてしまいました。 「玉熊さん、男とはあまり話さないけど女とはよく喋るんですか?」 まったく失礼な質問に対し、玉熊さんはとぼけた顔で、 「うん、女の人の方が話し易いんだよね。」 って、随分さりげなく言うじゃないですか。 「何か男の人とは話が見つからないんだよね。女の人って大体お喋りだから楽なんだよ。」 ってことは、いわゆる女好きだからってわけではないんですね。お姉さんと妹さんの間に挟まれて育ったのも理由かも知れないと言ってました。“ショートレンジの無口な男”あなどれないヤツと思ったんですが、そういうわけではなかったみたいです。 相変わらずボクシング界に疎いしょーちゃんですが、ますます話題が見つからないと思っていたら、なんと玉熊さんも同じでした。
「ホント俺も全然知らないんだよね。昔から別に興味もなかったし、誰かに憧れてボクシングを始めたわけでもないし・・・。」 今でもあまり観戦はしないそうです。そんなところで意気投合してしまい、 「じゃあ、気にしないでいいですね!」 と変に安心してしまったのでした。 と言っても興味もないのにどうしてボクシングを始めたのか不思議ですよね。 「高校に入ってただ先輩に勧誘されたから・・・」 ―WBA元世界フライ級チャンピオン レパード玉熊。やっぱりあなどれないヤツ。 さて、そんな玉熊さんを影で支えるご家族ですが、東京芸大大学院卒で油絵を使ったオブジェ(ちょっとよく解らないけど)を専門にしている“アーティスト主婦”ひとみさんと、幸(こう)君=10歳、新(しん)君=8歳の4人家族。 試合に負けて、もう終わりかな、彼女でも作ろうかなと思っていた時、ちょうど玉熊さんのファンだったひとみさんの展示会を見に行ったのがきっかけだそうです。世界タイトルを奪取し、ベルトを持って結婚式を挙げたというエピソードは有名です。 2人の男の子はお父さんの偉業をどう思っているのでしょうか。 「子供達は全然ボクシングに興味ないね。運動神経があまりよくないんだよ。」 体育はいつも5だったという元世界チャンプの子供達です。まだまだ分かりません。それとも芸術家の卵という可能性もありますが・・・。 「世界チャンピオンになって変わったことは何かありますか?」 「自分自身は何も変わってないと思う。でもこうして今ボクシング関係の仕事をしていられることが幸せ。」 「やっぱり基本的に好きなんですね。」 「うん、好きなんだね。今の仕事も経済的には苦しいけど、内容は一日中好きなことやってるんだから。ホント後は収入だけだね。」 「他の仕事をしようと思ったことはないんですか?」 「現役時代もずっと寮生活で、パチンコ屋のアルバイトで暮らしていたし、引退後もトレーナーしかやってない。他に何かしようとは思ったことないなあ。」 ‘97年11月にオープンしたジムは会員約100名、内プロ選手20名(現在日本ランカー5名)という堂々たる大所帯。専属トレーナーは元国際ジムのプロボクサーで、現在は日本選手とタイ選手とのマッチメーカーでもある“白いライオン=シンヨック”と呼ばれる有吉氏。
玉熊ジムの指導方針は、“技術は教える。管理はまかせる。基本的に自分!” 約100名の会員中30名が女性で、試合やスパーリングをこなす“女子選手”が4人いるとのとです。 今年に入って文部科学省は、アマチュア女子ボクシングを正式にスポーツ競技として承認しました。7年程前から全日本女子ボクシング大会事務局が主催している活動が正式に承認されたのです。玉熊ジムからも4年程前からこの大会に参加し始め、男顔負けの選手が育ってきているというわけです。 「スピードとテクニックだったら、男女にそんなに差はないね。きちんとトレーニングを積めばアマチュアなら女子ボクシングも承認されるべきだよ。」 “スポーツとしてのボクシング”―ボクシングの一面を象徴するような話に妙に引き込まれてしまいました。 会長としての玉熊さんの夢はやはり世界チャンピオンを育てる事。 「夢とお金の両方をとることは難しい事だと思いますが、どちらを優先させますか?」 「両方だよね。やっぱり家族がいるし、生活がうるおうことは大切だからね。」
ひと通り話を聞いて写真撮影が済むと、玉熊ジム練習生が経営するイタリア料理店へ行くことになりました。 「ここの店長は元体操選手で50歳を過ぎているというのに今でもバック転とかやっちゃうんだよ。」 小粋なイタリアレストランで乾杯をしたメンバーは、玉熊さん、シンヨックこと有吉氏、女子ボクサーのガチャピン(名前聞くの忘れた)、ふぉとぐらふぁ山口、そしてしょーちゃん。 閉店時間を過ぎても快く(多分)我々の宴をパスタ料理でもてなしてくれた店長。一緒に会話に加わってまた楽しいひと時を過ごしてしまいました。 レパード玉熊ジムでは現在スポンサーを募集しています。夢を応援してみてはいかがでしょう。連絡はTalk is Cheap編集部もしくはレパード玉熊ジム(03-3222-9879)まで。 |
